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メソッド

第7章:フリーズ・パニック時に起こりやすい感覚│不安からのメモリ不足

2015年5月28日 Category:メソッド

※出来るだけ最初から順番にお読みください。

他の音が気になり人の話を拾えない

パッと最初に強い印象を受けたり思い返したことがぐるぐる邪魔をする

そこにあるはずの物が目に入りにくく余計に焦る

などなど、困惑や感情的なものから、思考停止(フリーズ)したりパニックに陥ることは、人それぞれ大小あれど起こっています。

それらを予め抑えていくには、ここまでの章でご案内してきた、受け止め方や反応を確認したり、修正をかけていく事になります。しかし、パニックを起こす時は、不意を突かれた時に起こるものです。場合によっては、パニックを起こしている自覚すら、出来ないことも。

この章では、フリーズ・パニックを起こしている時に起こりがちな、体感覚や思考のパターンや、現実への実感に起こる現象をご案内します。どういう時に何が起きているかを知っておくことは、何に対して反応しているかなど、リアルタイムでのヒントがつかみやすくなります。

選択的注意の停止と感覚過敏

いつもは気にしないような音、エアコンの動作音やコピー機の音、換気扇の音や他の人の会話など、それらが突如思考の邪魔をしているかのようにイライラを募らせる事はないでしょうか。

生活には感覚を刺激する様々な情報が溢れています。しかし、それら全てを知覚して処理しようとすると、脳に膨大な情報が溢れてメモリ不足に陥ります。そのため人は必要な物以外にはフィルターを掛けたようにカットし、必要な情報だけを処理できるよう、情報の取捨選択をしています。

これを選択的注意といいます。

例えば

視覚:見ようとしている対象以外にも、目立つものや気を引くようなものがあっても、その時には対象以外に意識がいかない様になる。映画館で映画を見ている時、視界に入っているはずの他の観客の外見などは、映画の刺激を超えない限りカットされる。同じ確認作業の繰り返しの時、見るべきポイント以外は目に入らなくなるなど

聴覚:常に聞こえている騒音や、拾わなくていい類の音への注意をカット。長く乗り物に乗っている時にエンジン音が気にならなくなる。パーティーなどで大勢の会話などの雑音がある中、誰かと話をしていると、他の雑音が気にならなくなる。

触覚:着ている服の肌触りが、着ている内に気にならなくなり、触覚への注意がなくなる。一定の刺激の連続による神経刺激の麻痺ともとれるが、しかし、気にしようとするとすぐに肌触りを感じ始める。

しかし、一度に処理することが増えすぎた時や、処理が間に合わなくなってくると、情報の取捨選択が追いつかず選択的注意ができなくなる事があります。その時、今までカットされていた物が感覚に復帰することで、その分いつも以上に強く感じて注意を大きく持っていかれるようになります。

その強い刺激が、さらに必要な物への注意を阻害し、悪循環に陥るはめに。

無駄に受け取る感覚が強くなり、強調され、思考が邪魔される事で不快感にまで昇華。感覚過敏に陥ることも。

こうした状態の時は、情報の整理がつかなくなっている証拠だととらえ、一度手を止めてやるべき事を紙に書き出すなど、脳内でのみの処理から開放する事でメモリを取り戻しやすくなります。

ふだんは自動的に情報の取捨選択がされているのが、自動では上手く行かなくなったので手動に切り替える】とイメージすると分かりやすいかもしれません。

手動に出来るのはやるべき事などの項目だけではなく、音の氾濫や視覚情報も同じです。ひとつの音にだけ注意して集中する。探す視覚情報を予め設定しておいて、見つけるべき物がある場所の検討をつけておくなどもそうです。
例えば、デパートなどで選択的注意が取れず、視覚情報が氾濫してしまうタイプの方は、どこの売り場に何を買いに行くかを決めておき、その都度メモなどで確認すると、情報の氾濫によるフリーズ・パニックが緩和されることがあるようです。

一部の発達障害や精神症の場合、選択的集中が元々苦手な方もいます。解消まで出来るとは限りませんが、さらなるパニックやメモリの消失を防ぎ、適正な認知や行動・選択の確保が改善されることがあります。

選択的注意の改善策としては、フリーズ・パニックを起こさない状況や対策を整えるのが手っ取り早いのですが、それだけでは状況の変化に対応できないケースもあります。意識的に手動に切り替える作業をすると、パニック・フリーズに陥っても回復が早まる可能性が高まるので、同時に行っていくことをおすすめします。

表面思考

話の前後の関係や流れ、筋などを見失い、表面的な事実のみで思考する状態です。

失敗に対して、その度合を大きく極端に受け取って、『失敗=罪悪』と受け取ってしまうのは両極思考であると先にご案内しました。

しかし、その両極思考を分解して考えてみると、『失敗した』という事実だけに目が行き、周囲の反応や状況と比較して判断するなど、前後の関係が抜けている状態でもあります。

両極思考も表面思考から起きていると考えると、分かりやすくなる部分があります。

余裕のなさが先か、表面思考が先かという違いがありますが、【全力疾走しながら、計算問題を解くのは難しい】と言うとどうでしょう。全力疾走している時は、向かっている先か走っている事くらいにしか意識は行かないものです。

認知に何らかの障害を持っている場合は、特性としてこうした事実と認知の置き方にズレが起きやすく、【目についたもの・思いついたもの・思い出したもの】など、表面的な刺激に全ての思考を持って行かれてしまう事があります。

しかし、表面思考は認知に関する障害がない方でも、状況がそろえば同じような思考に流れ、酷く余裕を失ったり閉塞感に苛まれてしまうことがあります。また、特定の条件下でのみ表面思考になる方もいます。

表面思考については第5章-Ⅱの【両極思考】で挙げた内容が、その性質に近いので詳細な対策などはそちらを御覧ください(過去記事⇒第5章-Ⅱ:謝れない、謝らない・極端な考え方をする│両極思考とは?)。

また、【目についたもの・思いついたもの・思い出したもの】などに対して【それが全て】になり、衝動的に動いてしまう場合は、衝動性へのアプローチが必要です。例えば衝動買いや使い込み、転動(注意がそれてしまい、あちこちに気が向いてしまう)などが衝動的な行動として挙げられますが

1:今現在行っている主題の目的・意図・立場を明確にする

2:瞬間的な衝動を抑えるため、その場を離れたり視線を外し、10秒ゆっくり数える

と、2つに分けた認知への働きかけが有効です。

めまい・耳鳴り・動悸など

フリーズ・パニック時にかかるストレスは、心だけでなく身体にも影響を出します(心も身体の中の一部器官の活動なのかもしれませんが)。こうしたストレスのダメージを受けやすいのが自律神経だと言われています。

自律神経は精神・神経・内分泌・免疫・循環器など非常に広い範囲を担当しています。

自律神経が正常に動かなくなると、影響が出てくる部位も広く、頭・耳・目・口・のど・手・足・皮膚・心臓・呼吸器・泌尿器……などなど多岐にわたります。自律神経失調症などでよく挙げられる代表的な症状といえば、めまい・ドライアイ・視力低下・耳鳴り・喉の渇き・立ちくらみなどです。

内分泌も調整しているということは、セロトニンなどの精神状態に作用するホルモンの制御にも作用します。セロトニンは腸内で作られ、体温調節などの内蔵管理にも使われるため、腹痛や下痢・嘔吐などの症状が出ることもあります。心理状況に影響が出るため、抑うつなどの神経症の引き金にもなりかねません。

また自律神経は寝ている時の姿勢と、立っている時の姿勢など、その重力や体内の圧力に合わせて血流を調整しています。例えば立っている時は、最も高い位置の脳に血を送るため、血圧を上げたり血管を開放。しかし、その状態のまま寝っ転がると脳に血が行き過ぎたり、今まで下だった下半身などの血流にも支障をきたします。

自律神経が正常に働かなくなると、こうした仕組みも上手く行われず、寝た時の動悸や起きた時の立ちくらみを引き起こす原因にもなります。

対策としてストレスをなくすことが一番ですが、原因をなくすのは社会的にも難しいケースがほとんどです。しかし、認知と行動・選択を見直すことで、問題を問題でなくしたり、環境条件に置き換え対処を考える余裕を生み出せることがあります。

メンタル面でのアプローチはこうした方向として、身体面でのケアは規則正しい生活や食生活などはもちろんなのですが、自律神経の範囲を逆手にとり、【温かいものを飲む】【姿勢を良くする】のが効果的だとも言われています。

【温かいものを飲む】のは、セロトニン分泌などの体温調節が、冷たいものを口にすると余計に働くことになるので物理的に温度を下げないために注意するため

【姿勢を良くする】のは、体勢によって血流や心肺機能を調整している神経を、一定の姿勢の範囲で抑えることで負担を軽減するため

どちらもどこまで科学的に正しいかは分かりませんが、こうしたことに意識的に取り組む事も、時にスイッチになるのではないかと思います。

次の章では実感を高め、思考をもやっとさせないための、『実感に落とし込む』技法をご案内します。

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    心労と過労、カサンドラ状態に陥り3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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