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メソッド

第10章:人との距離が分からずオドオド・相談できない│自分の境界線

2015年5月28日 Category:メソッド

※出来るだけ最初から順番にお読みください。

上司の機嫌が悪い時、自分が悪いのではないかと思ってしまう。

『こんな事を相談したら怒られる?』『忙しそう』などで拒否されるのが怖くて相談が苦手。

そうしているうちに問題が大きくなり、さらに『どうしてあの時相談しなかったんだろう』と自分を責め、動けなくなってしまう。

今回は【責任の個人化】を起こしやすくしている、他人と自分との距離感・境界線についてご案内します。

人の不機嫌に罪悪感・人との距離

例えば近くの誰かが不機嫌だった時、自分が悪いのではないかと、自分を疑ってしまう事があります。
多くの場合は、思い当たらなかったり相手から示唆されなければ気にしなくなりますし、むしろ不機嫌を続ける相手に幻滅したり嫌悪感を持つなど、自分が相手を評価する側に回ります。

しかし、認知や行動・選択がズレていたり、両極思考・表面思考が強く出ている場合、こうした状況があると『自分が悪いのではないか』から抜けられなくなる事があります。

他人の失敗や良くない状況に対し、自分の責任として考えてしまう事を【責任の個人化】であると、第3章で触れましたが、このケースも責任の個人化です。

対人に不安があったり、自己評価が低くなっている時は、この傾向も強くなりやすくなります。

また、責任の個人化と同様の苦痛を生み出す傾向を持つのが、【相手に迷惑ではないだろうか】という不安感です。この不安感は相手に確認する事にも不安を感じさせるため、『迷惑ではないだろうか』のまま、ただただ不安を増幅させていく事になります。

これを過去のトラウマや対人不安などの一言で片付けてしまうと、余計に修復が難しくなりがちですが、責任の持ち方に対する認知の観点で、自分の行動・選択を思い返してみると分かりやすくなることがあります。

相談できない・頼れない

人に相談出来ない時にありがちなのは、『忙しいかと思って・こんな事聞くのは怒られるんじゃないか・説明してもらうのは申し訳ない』など、相手への敬遠です。

しかし、本当に相手の事を考えて敬遠しているのかと言えば、『相談する事で失敗したくない』が元の、自己評価を守るための極端な責任の誇大化です。

こうして、入り口にどうしても必要な、確認・相談の行動に責任を誇大化させると、そこに目を奪われて大事なことを見失います。

【聞かなかった事で起こる実際の失敗】です。

ここで『聞く勇気を持て』と言われても、人間性や性格の問題ではないので、精神論では難しいはずです。怖がりや臆病なのではなく、責任の捉え方が強いため、リスクを避けるために必要な行動・選択だからです。

人は自分の理論と異なる行動を取る時、戸惑い、オドオドするものです。

相談する技法・見つけるべき認知

相談する時、相談するリスクを誇大化して、本題の失敗を認識できなかったり、そこを絶望的な結末が待っていると考えれば余計に進めなくなります。

こうした時は、先に【聞かなかった事で起こる実際の失敗】を思い浮かべます。そして、相手に先に告げてしまいます。

【~~ってやっちゃいそうだから、ちょっと教えてもらっていい?】

相手にかかる可能性のある迷惑を、先にこちらが想定していることで、相手はむしろリスクを減らせたことになります。同時にあなた一人が抱えるはずだった責任を、相手と共有することで軽く出来る効果もあります。

もし、相手が大した理由もなく断った場合、相談を断った責任が相手にも生まれるので、取るべき行動を取った事は保険になります。同時にそうしたヘルプを解消できない環境の在り方を問われるケースになるので、今後の対策を相談するというマニュアル作成にも発展できます。

そして、この技法をさらに効果的にする観点があります。

相談するのは、最終的に誰のためなのか?

例えば友人、家族関係の場合、その人間関係で【聞かなかった事で起こる実際の失敗】を未然に防ぐことになるわけですが、その時、【失敗しないことで自己評価を守るため】なのか【相手に安心してもらうため】なのかを意識する事に大きな意味があります。

【失敗しないことで自己評価を守るため】に責任を考える場合、どうしても失敗は禁忌になりますし、実際に問題が発生してしまった時に打ちのめされてしまう危険性が出てきます。落としてしまった評価を取り戻す具体策は存在しないからです。

対して【相手に安心してもらうため】の場合、そう出来なかったことを相手に謝罪するという具体策が存在します。

仕事の場合はこれが【会社に貢献するため】や【お客さんへのサービスのため】と置くことになります。ここでも【失敗しないことで自己評価を守るため】と無自覚にとらえていると、立場的にも様々な矛盾が生まれ、行動・選択を適切に思い浮かべられない状態になるのです。

さて、ここまで10章に渡り、【生きるのが辛くなる原因】を、様々な因子とそこへの対応からまとめてきました。本編はここで終了ですが、このメソッドとの付き合い方とさらに効果的にするための考え方を、次の終章でまとめておきたいと思います。
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