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メソッド

第5章-Ⅵ:硬直・混乱・感情的に叫びたくなる│フリーズ・パニック・癇癪とは?

2015年5月27日 Category:メソッド

※出来るだけ最初から順番にお読みください。

例えば答えに詰まる質問を投げかけられた時、語を失うどころか思考がぐるぐる回り出し、何をしているのか何を考えているのか現実感すら失ってしまう。

例えば予想を超えたものに直面した時、考えがまとまらなくなり、衝動的に行動を取ってしまったり、事態を悪化させる方向に巻き込まれてしまう。

例えば思い通りにならない事態や、想定外の責任を背負いそうになった時、その大小に関わらず、自分でも理由が分からない内に激しい抵抗感や感情の爆発が起こる。

───反応が表に出るか、内に向かうか。

フリーズ・パニック・癇癪、それぞれ様々な場面、性質の上で起こりうるもので、これらも決して特別なものではありません。

今回は問題の処理や現状の認識を行う時、そのストレス対応によって事態を困難にさせる可能性の高い、フリーズ・パニック・癇癪についてご案内します。

フリーズとは?

フリーズが起こっている時、様々な考えがぐるぐると回り、しかしそのどれも決着がつかないまま回り続けたり、それらが氾濫して茫然自失になったりします。

『~~って一体、なんだっけ?』

今目の前にある事象に対して、その定義ごと見失うようにして、自問自答でハマり込んでいくこともあるようです。

複数の未解決な問題や、考えるべき要素が同時に浮かび、処理が追いつかなくなった時や、ひとつの事実に衝撃を受け、それまでの考えが飛ばされた時に起こることがあります。

アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)を始めとした、発達障害の方々にも見られますが、定型発達者(いわゆる普通)の人にも起こり得る状態です。特定の状況を超えたり、コンディションと合致すると起こるのも、そのハードルの高低はあれど同じではないでしょうか。

なんらかの障害や特性が直接フリーズを生むのではなく、状況に対する認知や行動・選択のあり方で起こることが多いので、誰にでも起こることだと言えます。

無反応・硬直・言葉が出ないなどの大きなフリーズから、表情に余裕がなく返答にどこか要領を得ない・その間の処理が低下しているなどの触れなければ気が付きにくい小さなフリーズもあります。

対処法は様々なのでここでは個別には触れませんが、【どんな時に起こりやすいか・自分のどんな気持ちが引き金になりやすいか】を書き出して自覚することが第一です。

特に【どんな時に起こりやすいか】は【相手・騒音などの環境・体調】などの外的要素を、出来るだけ細かく思い起こし、【それがどうして原因になるのか】まで見つめるつもりでやってみてください。

内的要素に関しては、前回のフラッシュバックに使用した【受け入れる技法】が役立つかもしれません。

フリーズは意外と直接的な問題の大小などではなく、【何にメモリを奪われたか】が対処法への重要なヒントになります。

パニック

パニックが起こっている時は、急な予定変更など状況がズレた時のショックや焦燥感から、状況を取り戻すために躍起になり思考が不安定になったりします。

フラッシュバックが関わることもあったりします。

また、何らかの心理状態やストレスなどでの余裕の無さから、なんてことのない言葉が強く大きく、両極思考やパワーゲームの様になってしまい引き金になることもあるようです。

フリーズに比べて思考は動いていますが、状況判断や具体的なシミュレーションイメージなど、対人に向けた反応は弱くなってしまいます。

癇癪

癇癪というと子供が起こすものと思われがちですが、知性や知識量、性格・人間性に関係なく起こる可能性があります。自分の思い通りにならない事に対して起こるのが基本ですが、対人ではそのコントロール欲求を、他人の判断に預けている時に起こりやすくなります。

基本的に状況が思い通りにならない事への感情の暴露や、そうさせてもらえない事に対して、その相手への感情的訴えによって起こします。

思い通りを望むもの

許可してくれない・受け入れてくれない・認めてくれない・返事や表情などが思い通りでない・こういう時はこうしてくれるはず……などの、別離不安にも関わるコントロール欲求

これはこうあるべき・こういう形でなければならない・今までこうだった・こうしないと気持ち悪い気がする・それをするのが不安……など、完璧主義や両極思考由来の、失敗に対する不安感への対処

感情を爆発させるだけでなく、イライラを発露させ続けるなどの感情的訴えに傾倒する方もいます。

脳の適切な対処だと考える

フリーズ・パニック・癇癪は、社会的には憚られる傾向にあり、そうなってしまうことに罪悪感を持ってしまう方が多くいます。しかし、起きていることが【自分を傷つけないためのストレス対応】だと考えると、脳がしっかりと仕事をしてくれているのだと分かります。

もし、起こってしまったとして、人間性や能力の問題ではなく、認知のあり方がどうであったかなので必要以上に恥じる必要はありません。

もちろん、だからといって、フリーズ・パニック・癇癪を思うままにやっていては、社会的な地位を失ってしまう危険性もあります。基本的に感情を表に出すこと、感情で解決することは、社会的には認められる行為とは言い難いからです。

で、あるならば、そうならないようにアプローチしていく方が、得であることは明白です。それは“耐えられるだけの人間性”などの曖昧な策ではなく、どうして自分に起こるのかをしっかりと押さえた知識を持つことです。

フラッシュバックにも外向・内向的な出方があったように、フリーズ・パニック・癇癪はそれぞれ処理の仕方によって、表への出方が違います。

特に癇癪に関しては、そこにいるコントロール欲求が関わるため、そこにいる人物によって出方が変わるなどが顕著です。フリーズとパニックは状況の判断や、そうなる環境の想定で対処を考えて行けますが、癇癪はやや異なります。

癇癪の場合、癇癪を起こすことで欲求が叶った過去の学習から始まっているケースがあり、【こうすれば、相手はこう動くだろう】を無意識の内に繰り返している場合があります。まず、この選択に自覚を持ち、その欲求の通し方を直接的なものに変えていく必要があります。

そして、癇癪やイライラを起こす時の裏にある、【人に解決させたいと思った小さな不安の理由】を見つけ出していきます。

この辺りも前回のフラッシュバックでご紹介した、【受け入れる技法】が役立つ可能性があります。

次の章では、ここまでご案内してきた1~4章の認知と行動・選択と、そこに関わる6つの行動特性、これらに大きく関わる要素となる『憤り』についてご案内します。

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